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【書籍】福井義高著/鉄道は生き残れるか~「鉄道復権」の幻想

鉄道は生き残れるか

鉄道は、衰退産業であり、すき間産業であり、そのすき間の立ち位置しか鉄道の生き残る道はないというスタンスで、タイトル以上にこれからの鉄道事業に対してたいへん厳しい意見を述べています。学者や鉄道マニア向けではなく一般人向け書かれた本なので、読んでみると、いかに鉄道がダメなのかがわかりやすく書いてありました。中でも国鉄の解体直前からJRになってからの流れ、整備新幹線についての説明は、はじめて知ったことも多く得るものがありました。
これだけ鉄道を整然とボロクソに言っている本もめずらしく、いわゆる鉄道否定派やローカル線廃止推進派のもの考え方が恐縮されています。地方鉄道をはじめ鉄道存続を願う鉄道派の人でも、ある意味、敵の手中を知る本で、読んでおく必要があろうかと思います。併せて、宇都宮浄人著「鉄道復権」とは抱合せでぜひ読みたい一冊です。
 
著者:福井 義高
定価:1600円+税
単行本: 272ページ
出版社: 中央経済社 (2012/8/8)
言語 日本語
ISBN-10: 4502699403
ISBN-13: 978-4502699405
発売日: 2012/8/8
商品パッケージの寸法:  19.2 x 13 x 2.4 cm

<目次>

Ⅰ 「衰退産業」鉄道が生き残るには
 1 すき間産業としての鉄道
  ●スピードで飛行機に負け、便利さで自動車に負ける
  ●鉄道は中途半端な輸送手段―生き残る道は?
 2 すき間だらけの旅客輸送
  ●都市圏としての東京は世界一の規模
  ●日本は旅客鉄道輸送に有利な条件が揃っている
  ●国内都市間の移動距離は大陸国家並み
  ●国内航空と公共陸上交通のシェアの高さが日本の特徴
 3 すき間のない貨物輸送
  ●日本の貨物輸送の鉄道シェアは主要先進国で最低
  ●鉄道貨物の優位性を発揮できる場は無い
 4 鉄道天動説との決別―必要とされる輸送サービスの効率的提供という視点
  ●根拠のない鉄道復権論
  ●ほとんどの鉄道路線はもはや利用者の負担だけでは運営できない
  ●公共交通は税金を投入してでも維持すべき―だが鉄道である必要はない
  ●輸送量の分析から鉄道事業を見る
  ●運賃収入や運営費用だけでは鉄道は評価できない
 5 高度成長期以降40年の鉄道の歴史と将来
  ●人口減少社会で鉄道が生き残るには?
  ●鉄道輸送量はこれから減少に向かう
 6 輸送人キロと輸送密度とは
  ●輸送量を測る指標が「輸送人キロ」
  ●輸送効率を測る指標が「輸送密度」
Ⅱ 国鉄崩壊と鉄道再生
 1 東海道新幹線開業と同時に赤字に転落した1964年
  ●貨物の凋落とローカル線輸送の減少
  ●最悪の選択―貨物とローカル線への投資
  ●「妄想」に基づいていた整備新幹線計画
 2 公と民の悪いところどり―借金ではなく補助金ならよかったのか
  ●「死に体」の会社が大規模投資で借金を重ねる
  ●「国鉄同情論」の誤り
 3 国鉄旅客輸送の分水嶺だった1975年
  ●日々の運営費すらまかなえない破綻状態
  ●「スト権スト」で浮き彫りになった鉄道の凋落
 4 「土光臨調」と戦後最大の改革―国鉄分割民営化
  ●国鉄落城―運輸省OBが国鉄総裁に就任
  ●「改革派」と「国体護持派」の社内対立
 5 鉄道衰退を前提とした国鉄再建監理委員会「意見」
  ●鉄道貨物分離は見切り発車だった
  ●旅客輸送では国鉄一人負けを予想
Ⅲ 断行された分割民営化とその成果
 1 常識的な6分割を可能にした収益調整
  ●3島会社には「経営安定基金」で事実上の補助金支給
  ●難問だった本州3社の分割―新幹線分割が焦点
 2 予想を上回る好成績
  ●堅調に増えた旅客輸送量
  ●貨物は一時V字回復も「バブル崩壊」で減少
 3 国鉄債務は誰が負担したのか
  ●高収入企業となったJR東日本と東海
  ●国民負担14兆円―JR各社の債務引き継ぎは少なすぎたのか?
 4 国鉄の子会社だった営団地下鉄
  ●なぜ東京にはメトロと都営のふたつの地下鉄があるのか
  ●民間の地下鉄会社が戦時統制により営団に再編
 5 本州3社「運命共同体」を断ち切った新幹線買い取り
  ●新幹線資産買い取りで分割が完成
  ●JR東海に最も有利だった買い取りの枠組み
  ●JR東日本は「割安」で購入した?
  ●見かけ以上に格差が大きいJR東海と東日本の収益力
 6 分割と民営化―大事なのはどっち?
  ●民営化の意義とは?
  ●民営化による経営効率化のシナリオ
  ●政府保有株の売却は不可欠か?
  ●民営化よりも地域分割が重要だった
Ⅳ 鉄道「勝ち組」はこれからも安泰か
 1 首都圏・関西圏・東海道新幹線に集中するJR輸送量
  ●世界的にも珍しい三大輸送市場
  ●三大輸送市場以外はどこも厳しい
 2 日本が世界に誇る私鉄の重要性
  ●私鉄大手15社の合計は独仏一ケ国分に匹敵する
  ●大手私鉄は優良上場企業
3 旅客鉄道輸送の殺生与奪の権を握る人口
 ●大都市圏では鉄道しか選択肢がない
  ●東海道新幹線は通勤路線並みの輸送密度
  ●首都圏・関西圏・東海道が日本の鉄道を支える
4 大阪と名古屋の間に段差がある鉄道輸送
  ●中京圏は鉄道利用が少ない
  ●自動車が使えるなら鉄道は使わない
5 人口に比例しない鉄道輸送量
  ●人口増でも輸送量が増えなかった国鉄時代
  ●JRのもとで大都市輸送量が増加
  ●輸送量の決め手となるのは人口ではなく人口集中
6 大きめの「私鉄」JR東日本・西日本と大手私鉄の攻防
  ●JR東日本と西日本は通勤輸送が主体
  ●首都圏はJRと私鉄が「平和共存」
  ●関西圏はJRの失地回復で「私鉄王国」凋落
7 人口減少社会における首都圏・関西圏輸送
  ●輸送量が堅調な首都圏では鉄道は安泰?
  ●輸送量のカギを握る現役世代人口
  ●首都圏の就業人口は今後減少する
  ●首都圏でも関西同様に会社間競争が激化
  ●事業者優位時代の終焉
8 東京一極集中がもたらした東海道・山陽新幹線の明暗
  ●東海道新幹線は世界的にも突出した存在
  ●山陽新幹線の輸送密度は東海道の3分の1
  ●東京一極集中で大阪の拠点性が低下
9 東海道を超える東海道新幹線と飛行機の競争
 ●東海道沿線内では新幹線の圧勝
 ●山陽新幹線開業で飛行機との熾烈な競争へ
  ●新幹線が飛行機に対抗できるのは東京・広島間まで
  ●人口減で競争はより熾烈になる
Ⅴ 国鉄改革成功物語を越えて―3島会社、ローカル線と貨物
 1 明暗を分けた3島会社の現在
  ●地域密着の営業努力で輸送量を維持
  ●JR九州の輸送密度は他の2島会社の倍
 2 なぜ九州は「晴れ」、北海道は「曇り」、四国は「土砂降り」なのか
  ●札幌が支えるJR北海道
  ●大都市輸送がないJR四国
  ●四国には鉄道が生き残るすき間がない
  ●JR北海道と九州には生き残りのチャンスがある
 3 JR九州上場は必要?
  ●本業の鉄道事業は収益性が低い
  ●「鉄道廃業が最善」のいびつな会社
  ●上場するなら投資ファンド化を防ぐ手当てを
 4 明暗を分けた青函トンネルと瀬戸大橋
  ●将来にツケを残した二大プロジェクト
  ●輸送量が増えた瀬戸大橋と減った青函トンネル
  ●首都圏・北海道輸送の主役は飛行機
  ●トンネルの維持には莫大な追加投資が必要
  ●瀬戸大橋開通で岡山に「吸収合併」された四国
 5 核の危険にさらされる青函トンネル利用者
  ●青函トンネルは公海の下を通っている
  ●非核三原則「死守」のために領海を縮小
  ●海峡内での外国原潜事故は「想定内」
  ●ベストの選択肢はトンネル閉鎖
 6 経営安定基金をめぐる不透明な「内部」補助
  ●「バブル」後の低金利で恩恵を受けた本州3社
  ●本州3社から3島会社へ事実上の寄付金
  ●政府主導で作られたJR各社間相互扶助に枠組み
  ●国営会社の損失を民間会社の利益で穴埋め
  ●その場しのぎの延命策で不採算路線は温存へ
 7 半世紀たっても終わらない宿題―ローカル線廃止
  ●国鉄時代末期に作られた「ローカル線」の基準
  ●「鉄道愛」にあふれたローカル線廃止基準
  ●現在の輸送量から見ればJR路線の半分はローカル線
  ●大都市圏以外の在来線輸送は長期低落
 8 被災地に限らずBRT転換を
  ●進まないローカル鉄道のバス転換
  ●問題が多すぎる三陸鉄道の復旧方針
  ●BRTはバス転換のデメリットを解消する
  ●1日2000人以下の路線は、バス輸送への転換を
 9 今こそ「尊厳死」が必要な鉄道貨物
  ●経済構造の変化で貨物輸送量は長期低迷
  ●JR貨物が経営破綻しないカラクリ
  ●旅客会社が貨物の赤字を穴埋めする不公平な「支援」枠組み
  ●鉄道貨物には生き残るすき間が残されていない
Ⅵ 新幹線はもういらない
 1 複々線化としての東海道新幹線
  ●そもそも高度成長期の輸送力増強が目的だった
  ●期待外れだった「二匹目のどじょう」山陽新幹線
 2 輸送力増強から高速化へ目的が変容した新幹線建設
  ●輸送量減でも止まらない新幹線建設
  ●スピード重視なら飛行機の方が効果的
  ●「需要誘発効果がある」という「統計のウソ」
  ●「新幹線は地球環境にやさしい」は本当か?
  ●乗客がいないのに海外でも建設が進む高速鉄道
 3 まぼろしの「通勤新幹線」構想
  ●首都圏では効果があった東北・上越新幹線
  ●実現しなかった首都圏超高速鉄道網
 4 東北・上越というより宇都宮・高崎新幹線に
  ●「東北」新幹線の利用者は東北へ行かない
  ●ハイスペックすぎる通勤路線
 5 採算は合わないのに便益が費用を上回る?
  ●建設コストの大半は都市の納税者が負担
  ●整備新幹線の費用便益計算は増税が前提
 6 飛行機と新幹線の二重投資―東北エリア
  ●各県につくった空港をなぜ活用しないのか
  ●花巻空港の滑走路延長工事は何のため?
 7 空港・在来線高速化・新幹線の三重投資―北陸エリア
  ●ほくほく線開業負担がJR東日本の資産?
  ●時短効果もごくわずか
  ●北陸新幹線で300億円が無題に
 8 欲しいのは新幹線ではなく新幹線工事
  ●都会から地方への所得再配分の手段
  ●30年後に線路設備をタダでもらっても
  ●タダほど高いものはない
 9 リニア建設の非合理性
  ●輸送量増が見込めないリニア新幹線
  ●従来型新幹線をもうひとつ作ったほうがまだ合理的
  ●大規模災害時の代替ルートなら北陸新幹線の延伸のほうが安上がり
  ●儲かりすぎるJR東海の道楽?
 10 東海道新幹線の功罪
  ●東京一極集中化の「元凶」
  ●東海道の成功体験が後押しした在来線ネットワークの寸断
Ⅶ かつての「陸の王者」鉄道に静かな余生を
 1 四半世紀遅れて実現した国鉄再建監査委員会「意見」の予言
  ●予測が外れた国鉄時代末期の鉄道衰退論
  ●就業人口減で予言は実現しつつある
 2 求められる整合的な鉄道政策
  ●鉄道を重要政策課題としない日本政府
  ●いびつな運賃料金体系をいつまで放置するのか
  ●国交省に期待したい鉄道貨物の「幕引き」
 3 今後の旅客鉄道のゆくえ―ローカル線
  ●鉄道に優位性がない路線は廃止やむなし
  ●3島会社はまずはローカル線廃止すべき
 4 今後の旅客鉄道のゆくえ―二大都市圏輸送と東海道新幹線
  ●JR東日本と西日本はさらなる分社化を
  ●あまりに盤石すぎるJR東海
 5 今後の旅客鉄道のゆくえ―その他の市場
  ●経営努力次第で輸送量を伸ばせる地方大都市圏
  ●都市間輸送は多くの区間で厳しい
  ●鉄道経営者の求められる非情な「選択と集中」
 6 さよなら公共性
  ●公共性を経済効率性は対立するのか?
  ●輸送の安全とコスト
  ●優雅なる衰退こそ鉄道存続への道

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