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【海外の鉄道】国際列車行ニコラ・テスラ号(ベオグラード発ベネチア行)

【海外の鉄道】ベオグラードの市電<その2>
http://asian-train.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-3f08.htmlの続きです。

旧ユーゴ圏とイタリアを結ぶ国際列車というのは意外に少なく、以前は昼行のベネチア-リビュリャーナ(スロベニア)と夜行のベネチア-ブタペスト/ベオグラードを結ぶ2往復があったのですが、前述の昼行列車が近年廃止されてからは、今回紹介する「ニコラ・テスラ号」(ベネチア行412列車、ベオグラード行413列車)のみの夜行1本体制が続いています。この列車は過去に何度か利用したことがあるのですが、2009年の旅行でもミラノへ向かうために、ベオグラードからベネチア・メストレまでニコラ・テスラ号に乗車しました。

412列車ニコラ・テスラ号
▲ベオグラード本駅で出発を待つ412列車「ニコラ・テスラ号」ベネチア・ザグレブ行

この列車、一応、時刻表上では「ニコラ・テスラ号」と表記してありますが、車両には一切そのような表示はなく、実際には412、413列車といった方がよさそうです。もちろん、機関車にヘッドマークなどもありません。

セルビア国鉄時刻表
▲ベオグラード本駅のきっぷ売り場にあったニコラ・テスラ号専用の時刻表

当日の編成は444型機関車+2等クシェット(セルビア国鉄)1両+2等車(クロアチア国鉄)3両+1等/2等合造車1両の合計5編成。この中で2等クシェット車1両だけがザグレブでブタペストから来た列車に併結されてイタリアへ向かい、そのほかの車両ザグレブ止まりとなっています。この列車のメインは、ベオグラードとザグレブという首都同士を結ぶことといえます。

412列車、EN240列車編成図

セルビアとクロアチアは、隣接する国ですが、過去においてはたびたび戦火を交えた間で、それほど仲がいいわけではないようです。鉄道に関しては、同じ国でった過去もありゲージも電化方式も保安装置も同じなのですが、クロアチアがどんどん新しい車両を導入しているのに対して、セルビアは旧態以前(マニア的にとても面白いのですが・・・)としていて、さらに車両外側の落書きがひどく、お世辞にも綺麗とはいません。

セルビア国鉄レールバス
▲STARA PAZVA駅で見かけたドイツ製レールバス。ドイツでは博物館入りで現役を初めて見ました

わざとかどうかは分からないのですが、ベオグラード本駅に停車している412列車を見ると、1980年代製と思える古い落書きのあるセルビア国鉄の車両が1両に対して、新型で200km/hの自動ドア、空調完備のクロアチア国鉄がこれ見よがし4両も連結されているようにも思えてしまいます。誰が見てもクロアチアの車両に乗りたいと思うことでしょう。しかしながらイタリアへ向かうならばセルビアの車両しかないので、しかたなくこの車両に乗らざろう得ません。

TRAIN412_NIKOLA TESLA
▲SID駅でセルビア国鉄機関車からクロアチアの1142型機関車へ交換

「ニコラ・テスラ」とは、セルビアの大科学者でお札にもなっている人物。列車の名前に付けたぐらいですから、国鉄としても看板列車と位置付けだと思うのですが、現実にはクロアチアの車両が幅を利かせています。セルビア国鉄にしてみれば、この格差はなんとかしたいところかもしれません。それともあきらめているのでしょうか・・・

ニコラテスラ号
▲ザグレブ駅に到着した412列車(右)、左はスプリット行き夜行列車(写真は2010/5)

さて列車は15:35にベオグラードを定時に発車しました。このルートはユーゴ圏でも平原をひたすら走るだけで、山越えなどはなく、比較的単調な車窓となります。

国境駅のSIDでクロアチアの機関車と交換。セルビアの鉄道は、時間通りに走ることなく遅れるのですが、国境付近の長時間停車でその遅れを吸収してしまいザグレブ到着はほぼ時間通りの22:45でした。

ここでベオグラードから連れ添ったクロアチアの綺麗な車両は切り離しとなります。乗車しえいるクシェット1両だけがブタペストからくるEN240列車へと連結されますが、ブタペストからの列車が後からくるためしばらく3番線で待機。

ほぼ定刻の23時過ぎに1番線にハンガリーの車両を連ねたEN240列車が到着すると、3番線から1線へと転線して、こちらの車両が先頭部へと連結となります。九州ブルトレがなくなってしまいましたので、このような体験も日本ではなかなかできなくなりました。

ニコラ・テスラ号
▲機関車が切り離されて、ベネチア号到着までしばし3番線で待機するベオグラードからの2等クシェット車

併結されるEN240列車も「VINEZIA号」と愛称がついて、こちらはハンガリーの綺麗な客車が主体に1等個室寝台や食堂車も備え、さらにブカレストからの2両も最後尾に連結されています。そこにさらにベオグラードからの1両が申し訳なく連結されてベネチアへ向かいます。(※ブカレストからの乗り入れは現在は廃止されています)

国際列車412列車(ベオグッラード発ベネチア行)
▲23時過ぎブタペストからベネチア号到着。右にベオグラードからの車両が見えます

23:35定時にザグレブを出発。牽引する機関車は、この後スロベニア国鉄、イタリア国鉄とバトンタッチされるのですが、深夜になるためスロベニア国鉄は何がひっぱたかは不明です。本来では眠い時間帯ですので寝たいところですが、ザグレブを出発して過ぐクロアチア出国手続きがあり、そしてそれが終わってコックリしているとDOBOVAで再びスロベニア入国で起されます。

いままで東ヨーロッパを中心に夜行列車に乗りましたが、国境となれば深夜でもいつもたたき起こされます。どこかの本に「寝台車の乗客はパスポートは車掌が預かりフリーパス」などと読んでことがありますが、そんな体験は皆無で、どこでやっているのでしょうか?

さて、このスロベニア入国が終わるとイタリアはフリーパスなのでようやく寝ることが可能です。時計は1時を指していて、速攻で爆睡へ。スロベニア-イタリアの国境も気づくことなく、6時過ぎ、既に顔を洗って降りる支度をしていると何だかんだで、ベネチアメストレ駅も近づいてきました。7:04時間ぴったりにベネチア・メストレ着でした。

国際列車ベネチア号(ベネチア・メストレ駅)
▲定時到着のベネチア・ニコラテスラ号(ベネチア・メストレ駅)

ニコラテスラ号で、ベオグラードからベネチアまでは2等クシェットしか選択肢がないのですが、最初は混むといやだなと思ったのですが、実際にはかなり空いていて、係員が1コンパートメント1名にしてくれます。トイレと洗面台はありませんが、個室状態で使えますので結果としてはクシェットで十分でした。

聞けば、このクシェット車にだけ関してベオグラード―ザグレブ間だけの利用者はまずなし、そしてザグレブを過ぎると乗車扱いを行いませんので降りるのみとのことです。夏のピークシーズン以外は空いて、だいたいは1コンパートメント占領が可能のようです。

ニコラテスラ号、イタリア-旧ユーゴ圏を結ぶのは、これ1往復だけなので、またお世話になりそうです。(2009/05乗車)

<【海外の鉄道】〔イタリア〕乗り換えに便利なベネチア・メストレ駅http://asian-train.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-fa5b.htmlに続く>

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コメント

お初に書き込ませていただきます。
大変に興味深い内容でした。

寝台車のパスポートの話は西欧各国に入国審査があった時代の話だと思います。
シェンゲン条約の影響は大きいです。
ドイツ~フランス、ドイツ~北欧などの区間の夜行列車も多かった時代でしょう。
私は欧州の鉄道の夜行列車で計40泊ほどしていますが
6年前のウィーン~チューリッヒがパスポートを預けた最後の経験ですね。
スイスがシェンゲン条約に加盟してからは、
大陸で入国審査をやるのはもうバルカン半島と旧ソ連くらいですね。

スロベニアとクロアチア国境の入国審査が欧州大陸で一番厳しいように思います。
元はユーゴスラビアでひとつの国だったので、かえって欧州全体への密入国・不法滞在のルートになりかかっているためのようです。
(政治関係も似ているのはギリシャとトルコ)

投稿: 東雲 | 2010年6月15日 (火) 00時24分

こんにちは。東雲さま。
コメントありがとうございます。
なるほど、あくまでも西欧各国に国境の存在を前提にしていた時代の話なのですね。

欧州での国境手続きはバルカン半島と旧ソ連だけぐらいになったとのこで、昼間の国境越えはそれなりに鉄道旅行楽しみのひとつともいえるのですが、深夜にやられると疲れますよね。

それにしても欧州で夜行40泊というのは、すごいです。面白い経験をたくさんお持ちなのでしょうね。今後ともよろしくお願いします。

ありがとうございました。

投稿: へっち(管理人) | 2010年6月15日 (火) 09時54分

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